試剣石、もちろん本物ではない。
三国演義の影響で、嘘が本当になった話である。
剣を掲げる孫権と劉備の像。
ちょこっと解説
三国演義、第五十四回「呉国太佛寺看新郎、劉皇叔洞房続偶」の中で、孫権と劉備が願いを込めて石を斬ったところ。試剣石は恨石ともいう。劉備は池の中の巨石を見て「もし荆州に戻ることができ、我が王覇之業が成るならこの石が斬れよ」と心の中で願い剣を振ると、石は見事に斬れた。それを見咎めた孫権が「貴公はこの石に恨みでもあるのか」と聞きただすと、劉備は「もう歳五十に近く、これを機に曹操を滅ぼし漢を復興できるなら、この石斬れよと願ったのです。」と答える。孫権は「そんなはずはない」と言うものの、劉備の前で剣を抜き「天に問う、曹操を破れるなら、この石斬れよ」と言いつつ、心では「荆州を取り戻し、東呉がさらに繁栄するなら」と思いながら剣を振ると、もう一つの石がまた見事に斬れた。そして二人は心の中で喜びながら、笑ったとされる。そのときの二つの石が試剣石なのだが、実際にこの故事は三国演義の虚構である。
探訪後記
この石が孫権と劉備でぶった斬った石らしい。横山光輝の三国志では「甘露寺の十字紋石」となっていたかな。もちろんこれは三国演義での創作話。それでも一番最初に訪れたときには、一緒に行った中国人に「これは偽物ですけれど、本物は博物館に保存されてます」なんて言われて信じ込んでしまったのであった。あの頃は純真だったのか馬鹿だったのか。まあ、今は心もねじ曲がっているので「なんだよこんなもの」という感じになってしまうのだが。実物を見ればわかるが、これを斬ったとすれば劉備は化け物ですか。ここでは試剣石と呼ばれているだけで、十字紋石ではない。なので孫権は別の石を斬ったのかな。一種の三国演義テーマパークとして楽しめばいいだろう。
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